
車載用樹脂の耐熱性向上
高温環境にも対応!耐熱性モノマーの共重合により進化したポリマーアロイとは?
自動車電子化で求められる耐熱性向上。成形性と透明性を維持し耐熱性向上に貢献したモノマー!
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ABSの耐熱性向上と透明性維持が可能!
N-シクロヘキシルマレイミド
イミレックス-CはN-シクロヘキシルマレイミドで、 1985年に日本触媒が世界で初めて独自の製造技術で企業化したマレイミドです。各種樹脂に耐熱性を付与することが可能なモノマーで、国内外で幅広く販売されています。シクロヘキシル環を有することで、その共重合体は無着色であり、各種共重合体の透明性維持と高Tg化の両立が可能であるという特長を有しています。
イミレックス-Cは耐熱アクリル樹脂の耐熱性(Tg)向上用途のモノマーとしての使用が可能で、透明樹脂であるABS樹脂の耐熱性を向上させます。
ABS樹脂への添加方法としては、あらかじめイミレックス-Cとアクリルモノマーを共重合した耐熱アクリル樹脂を製造し、それを透明樹脂であるABS樹脂と溶融混練することで、耐熱透明ABS樹脂の製造が可能です。
STEP1 | イミレックス-C | + | アクリルモノマー | → ※共重合 | 耐熱アクリル樹脂 |
STEP2 | 透明ABS樹脂 | + | 耐熱アクリル樹脂 | → ※溶融混練 | 耐熱透明ABS樹脂 |
イミレックス-Cと共重合して得られる耐熱アクリル樹脂をあらかじめ製造しておくと、簡易な製造工程である溶融混練のみで透明耐熱ABSの製造が可能です。また、透明ABS樹脂と耐熱アクリル樹脂の比率を調節することにより、透明耐熱ABSの耐熱性(荷重たわみ温度など)を容易に調節することができます。
透明ABS樹脂とイミレックス-Cを共重合したアクリルスチレン樹脂を溶融混練(アロイ化)することにより、全光線透過率をほぼ保持(97%以上)したまま、耐熱性(Tg)を9℃向上させることができます。配合例1ではTgが116℃となりますがイミレックス-C の共重合体量を増やすことにより、さらなる耐熱性向上が期待できます。
透明ABSのみ | 配合例1 | 配合例2 | ||
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樹脂組成物 配合 (wt%) | 透明ABS | 100 | 60 | 60 |
イミレックス-C 共重合体 | 0 | 32 | 0 | |
AS樹脂 | 0 | 8 | 40 | |
物性 | Tg(℃) | 107 | 116 | 106 |
全光線透過率(%) | 87 | 84 | 55 | |
ビガット軟化点(℃) | – | 114 | 103 |
耐熱性向上モノマー(イミレックス-C)は白色フレーク状の素材であり、 重合時に添加しても各種ポリマーが有する特有の透明性の維持が可能です。
項目 | 単位 | 代表値 |
---|---|---|
外観 | – | 白色フレーク状 |
融点 | ℃ | 87~90 |
沸点 | ℃ | 128 (1.33kPa) |