レーザー吸収剤
(イーエクスカラー®)(開発品)

可視光透明性に優れたレーザー吸収色素

レーザー吸収剤(イーエクスカラー®)(開発品)

レーザー吸収剤とは

レーザー吸収剤は、波長800~1200nmのレーザーの光を吸収し、熱に変換する材料です。
日本触媒が開発したレーザー吸収剤イーエクスカラー®は、レーザーを効率良く吸収して発熱するため、樹脂のレーザー溶着に好適な材料です。

使用例

  • 溶媒に溶かし、塗料として樹脂材に塗布
  • 樹脂と混練してペレット化し、板やシートに加工

レーザー溶着の概要

レーザー溶着とは、レーザーを照射し、樹脂の界面で局所的に発熱させて溶着する接合工法であり、主に熱可塑性樹脂に適用可能な技術です。

レーザー溶着の原理

  1. 吸収材がレーザーを吸収して界面で発熱・溶融する。
  2. 透過材に熱伝導し、透過材と吸収材が混ざり合う。
  3. 冷却して凝固することで界面が接合される。

レーザー溶着と接着の比較

レーザー溶着は、接着剤の経年劣化による強度低下がなく、部品の長期信頼性を向上させることができます。
PP, COP, POM等の難接着性樹脂材料の溶着にも適しています。

項目レーザー溶着接着
加工時間
接合強度
装置コスト
異種材間接合
(例:樹脂-金属)
精密性
環境への影響
+:適応性が高い、-:適応性が低い

推奨分野

外観の美しさを重視する製品や複雑な3D形状を持つパーツの溶着に適しています。

エレクトロニクス分野
センサー部材、電子筐体の封止など

バイオ・医療分野
マイクロ流路チップ/デバイスの流路溶着など

透明樹脂のレーザー溶着動画

レーザー吸収剤(イーエクスカラー®)の特徴と物性

レーザー吸収剤(イーエクスカラー)は、優れたレーザー吸収特性を持ち、高い可視光透明性があります。800~1050nmに最大吸収波長を有する各種ラインアップがあります。

レーザー吸収剤(イーエクスカラー®)の物性一例

最大吸収波長*1溶解性(代表例)熱分解温度*2
(Air下)
シクロ
ヘキサノン
トルエンクロロ
ホルム
メタノール
1044nm易溶可溶可溶難溶280~300℃
*1:測定溶媒 クロロホルム  *2:TG-DTA測定値、5%重量減少温度(昇温速度:10℃/min)

コーティング基板の透過スペクトル

  • 塗料:レーザー吸収剤0.06wt%溶液(溶媒 クロロホルム)
  • 塗布方法:スピンコート法

コーティング前

コーティング後

溶着可能な組み合わせ

PMMAやPCなど、透明樹脂材料同士の溶着に適用可能です。

  透過材

吸収剤
PMMAPCPStCOPAS
PMMA
PC
PSt
COP
AS
〇:溶着する (接合強度≧15MPa)
-:未実施

PC同士の溶着
(吸収剤:コーティング)