酸化グラフェン

Graphene Oxide

異種素材の橋渡し
抗菌・抗ウイルス剤用足場材、フィラー表面改質材

酸化グラフェン

酸化グラフェンの概要

酸化グラフェンは、厚み約1nm、シート長は数~数十ミクロンで高いアスペクト比・高表面積を持つナノ炭素材料です。
豊富な酸素官能基を有した薄片構造をしており、これまでの他のナノ炭素材料(カーボンナノチューブやグラフェン)では難しかった「高い分散性」を発現します。
これによりさまざまな材料との複合化が容易になり、また、塗膜・機能性膜として使用することが可能となります。近年、次世代電池材料や、抗菌・抗ウイルス、コーティング、潤滑剤、水浄化用、触媒等の各種機能材料用途への展開が研究され、さまざまな用途での活用が期待されています。
高いアスペクト比と、高い分散性を持つことから、各種ホスト材料に少量添加するだけで、ホスト材料中で酸化グラフェンがネットワークを形成し、各種機能が発現します。また、非常に薄い膜中でも酸化グラフェンのネットワークが形成できることから、膜、フィルム形状での使用にも適しています。

酸化グラフェンの特徴

  1. 多くの酸素官能基を持つナノ炭素系の新材料
  2. 厚み:1nm、粒子径:数μmの超薄片構造をもち、大きな表面積を持つ
  3. 水分散性の高い標準タイプ
  4. 薄膜であれば無色透明
  5. 基材(金属、樹脂、ガラス等)や各種有効成分(イオン、低分子化合物、ポリマー等)と強く相互作用し、基材に有効成分をとどまらせることが可能
原子間力顕微鏡(AFM)画像
構造イメージ図

酸化グラフェンの代表的物性値

項目代表値測定機器測定条件等
薄片サイズ厚み:1nm、シート方向:数μmAFMAFM写真参照
酸素含有量30~40atom%XPS
粘度20,000~30,000mPa・sB型粘度計2.1%水分散体、25℃、6rpm
pH2.5~3.0pH計
比表面積300~500m2/gBET還元後の分析

酸化グラフェンのサンプル外観

サンプルとして、水分散体を提供可能です。

基材と各種有効成分とを結ぶ足場材

有効成分を保持させたい基材(金属、樹脂、ガラス等)に酸化グラフェンの薄膜を形成し、その上に有効成分を複合化することで、基材上の保持が難しかった薬剤でもコーティングなどが可能となります。

酸化グラフェンの足場材としての効果(模式図)

基材と各種有効成分とを結ぶ足場材

酸化グラフェン薄膜は単層膜であり、無色透明です。そのため、基材の色味を損なうことなく有効成分を保持させることが可能となります。
酸化グラフェンは異なる反応性、相互作用を有する酸素官能基を豊富に持つため、幅広い有効成分と相互作用が可能です。

酸化グラフェン薄膜の電子顕微鏡画像

耐水性をもつ抗菌・抗ウイルス剤の足場材への応用例

GO:酸化グラフェン

酸化グラフェンの用途

衣類、衛生器具への抗菌・抗ウイルス剤の固定、電磁波吸収、封止材、放熱用途向けフィラーなどの表面改質、熱伝導性材料、抗菌/抗ウイルス性材料、電子情報材料、透明導電膜、水処理膜、スポーツ用品、電池材料、導電性インク、潤滑剤、航空宇宙材料、バイオセンサ材料、ミリ波吸収材料、各種表面処理、コーティング剤 など