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水系コーティング剤の開発。塗膜強度と可とう性のバランスを改善したアクリルエマルション技術とは?
アクリルエマルションの基本ガイド。メーカーが解説する設計と機能発揮のポイント!
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Acrylic Emulsion
アクリルエマルションの基礎~応用まで詳しく解説!
アクリルエマルションとは、アクリルポリマーを水中に分散させたエマルションです。主に、塗料や粘接着剤、コーティング材などに使用されます。アクリルエマルションはアクリルポリマーの精密な製品設計により、優れた耐候性・耐水性・耐化学薬品性を持ち、乾燥後に透明な被膜を形成します。
また、機能材をアクリルエマルションに内包させることも可能です。内包物は染料・紫外線吸収剤・抗菌剤・防腐剤・香料・蓄熱剤などから選択することで幅広い用途への展開が可能です。
日本触媒はアクリルエマルションの設計技術を得意としています。お困りごとは、こちらから当社にご相談ください。
チキソトロピック性とは、混ぜる作業のように一定の力をかけ続けると粘度が低下し、一定時間放置すると元に戻る特性を持つことです。例えば、塗料のように低粘度の方が塗布時に塗りやすいという製品で特性を発揮します。
アクリルエマルションでは、エマルション内部のポリマーの分子量を大きくできることが特長で、ポリマーが高分子量になると、ポリマー間の絡みが強くなり耐久性が良くなります。
その一方で、一般的なポリマーでは高分子量になるほど、溶液中で高い粘度を示します。しかしエマルション構造中のポリマーは、エマルションの内層(油層)で丸まった構造をしているため、分子量が100万を超える大きな状態でも低粘度で、ハンドリング性が良いという特徴があります。
約-100℃~200℃と幅広いTgの設計が可能で、目標とする硬さ・柔らかさを出すことができます。また、耐熱性・低吸湿性・光安定性などを有するモノマーを選定することで、ポリマーに目的とする機能を付与することが可能です。
アクリルポリマーはウレタン・エポキシ・SBR・酢ビのポリマーと比較して幅広い機能を付与できます。
アクリル | ウレタン | エポキシ | SBR | 酢ビ | |
---|---|---|---|---|---|
耐薬品性 | ○ | ◎ | ◎ | ○ | × |
耐候性 | ◎ | ○ | × | × | × |
耐水性 | ○ | ◎ | ◎ | ○ | △ |
水溶化 | ○ | △ | △ | ○ | ○ |
日本触媒のアクリルエマルションはコアシェル構造を有しています。コアシェル構造とは、2種類の層から構成され、コア層(内側)をシェル層(外側)が取り囲んだ構造のことです。
外側が柔らかく内側が硬いハードコア/ソフトシェル構造と、外側が硬く内側がやわらかいソフトコア/ハードシェル構造がありますが、日本触媒のエマルションは、完熟した桃の可食部のように外側がやわらかく、桃の種の部分のように内側が硬い構造(ハードコア/ソフトシェル構造)で、高い造膜性を持ちます。
日本触媒はアクリルエマルションを精密に構造を制御する技術を得意としております。Tgが低い(やわらかい)ポリマーと、Tgが高い(硬い)ポリマーをシェル状に組み合わせることで、相反する特性を持たせることができます。
ポリマー | 耐ブロッキング性 | 低汚染性 | 伸び | 成膜性 |
---|---|---|---|---|
低Tg | × | × | ○ | ○ |
高Tg | ○ | ○ | × | × |
日本触媒のアクリルエマルションは、ハードコア/ソフトシェル構造(中が固く外が柔らかい構造)です。これにより構造が壊れにくい上に、膜を貼りやすく強度も出せるため、その特性を生かして塗料に配合されています。
日本触媒の設計技術で精密に設計にされたアクリルエマルションを配合すると、水系塗料に、溶剤系塗料のように均一的な膜にすることが可能になります。
硬度(硬さ、高Tg)と伸び性(柔らかさ、低Tg)など、相反する性能の両立や官能基の粒子表面局在化などが設計可能です。
要求性能が厳しいトップコート用途でも、アクリルエマルションが幅広く活用されています。例えば、熱乾燥が必要な建材ライン用としては、耐ブロッキング性と可とう性(柔軟性)の両立が期待できます。
また、現場塗装が必要な建築外装用であれば、耐汚染性(低タック性)と伸び性の両立が期待できます。
開発品であるIX-4-OA-2- シリーズPP複合エマルションは、当社のエマルション粒子構造 制御技術によりポリオレフィンとアクリルとをハイブリッドしたエマルションです。
低極性なポリプロピレン基材にも高極性なアクリル基材にも優れた密着力を持つため、様々な基材への接着剤として機能します。
疎水性機能性材料をアクリルポリマーで包み込んだO/Wエマルションで、本開発品は水中で40~150nmの微細な粒子として分散しており、機能材の水中含有安定性、粒子の分散安定性に優れます。
疎水性機能性材料(疎水性染料、紫外線吸収剤、抗菌剤、防藻剤、香料、蓄熱剤など)を樹脂中に導入可能で、包み込むポリマーの設計により、他の様々な機能を付与することができます。
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