機能材の水中含有安定性 インキ・コーティングメーカーN社 技術開発部

VOCフリーへの対応。水系化のため機能材を水に分散・安定化させたいが…

耐久性が向上、機能が向上!疎水性機能材を水中で安定に分散させることができる、画期的なナノエマルション化技術

塗料・コーティング
環境対応 耐久性・安定性

種々の機能を付与したインキやコーティング剤を製造、販売しているN社。インキ・コーティング業界で進んでいる水系化、VOC(揮発性有機化合物)フリー化に対応すると同時に、機能を発現させるために添加している様々な機能材の耐久性や機能向上を目指し、新しい技術の開発を進めていた。技術開発部では開発に着手したものの、状況は難航していた。

課題

疎水性機能材を水に安定して分散させる技術を探索。しかし、目標達成が難しく…

N社の開発チームでは、染料や香料などの機能材の中で、特に疎水性化合物を水に分散・安定化させる技術をターゲットに開発を行っていました。この技術の関連情報を調査して、ピックアップしたいくつかの技術について、実際に実験室で分散化を検討しました。すると、さまざまな課題があることがわかりました。

技術開発部でこの開発のチームリーダーT氏はこう振り返ります。
「まず、界面活性剤を添加して攪拌分散を行う一般的な技術を試してみました。この方法では、粗大な粒子ができてしまい、分散状態にばらつきが発生しました。期待していた機能材の安定性も十分向上しないこともわかりました。
また、マイクロカプセル化技術にも着目しました。水への分散性や安定性が向上することは確認できたのですが、分散したカプセル粒子径が想定より大きくなったり、カプセル壁材の厚みが大きかったりしました。また、壁材としてポリウレタンを使用することも懸念材料でした」

開発に進捗が見られてない状況が続き、チームにはしだいに焦りの色が見られてきました。

課題のポイント

  • 疎水性機能材の水中での安定分散化の技術を探索していた

  • 従来の界面活性剤を使用した攪拌分散では、分散状態がばらついて、水中での安定分散が不十分であった

  • マイクロカプセル化技術は、安定分散は達成できるものの、分散したカプセル粒子径が想定より大きくなった。また、壁材としてポリウレタンを使用することに懸念があった

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