カーボン系導電性材料の分散性の向上 化学品メーカーQ社 開発部

カーボン系材料を分散液中に均一に分散させたいが、スラリー粘度が高くて取り扱いが困難…

スラリー粘度低減を実現し、生産性を向上させたPVPの性能とは

エレクトロニクス
分散・凝集・粘度

カーボンブラック(CB)やカーボンナノチューブ(CNT)などの導電性フィラーの分散液やペーストの開発を行っているQ社。電池メーカーから電極用スラリー粘度低減の要望を受け、開発部はその対応に追われていた。

課題

リチウムイオン電池に使用する電極用スラリーの粘度を低減したいが、カーボン系材料の分散性との両立が難航

開発部リーダーのS氏が、電池メーカーにヒアリングを実施したところでは、リチウムイオン電池の電極部材の生産性アップのため、電極スラリーの粘度を低減したいとのことでした。
すぐに検討を開始したS氏は、電極に使用する導電助剤であるCBやCNTなどのカーボン系導電性材料の分散性に課題があることがわかりました。

「導電性に優れたカーボン系材料は、比表面積が大きいため凝集力が強く、分散液中に均一混合、分散することが難しいのです。また均一分散した電極スラリーの粘度が高くなることから、塗工性が低下してしまいます。粘度を下げるため、溶媒の含有量を高くすると、溶媒乾燥に時間がかかってしまいますし、電池の高容量化に必要な電極の厚膜化も難しくなるなど、色々と弊害が発生してしまうことも懸念されました」(S氏)

S氏はさまざまな分散剤を用意し、配合や分散方法を変えて分散性の向上を試みました。しかし結果はどれもいまひとつで、スラリー粘度を改善することができません。なかには、電極の塗膜の密着性が不足してしまう試作品もあり、不良発生率の増加なども危惧されました。

電池メーカーからは連日のように進捗確認の催促が続き、求める試作品の完成の兆しがみえないS氏は頭を抱えてしまう状況でした。

課題のポイント

  • 電極に使用する導電助剤であるCBやCNTなどのカーボン系導電性材料は、凝集力が強く分散液中の均一混合、分散が難しく、分散液粘度も高くなり取り扱いが困難

  • 種々の分散剤を使用して、配合や分散方法を変えて分散性の改善を試みたが、求める性能は達成できない

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