基材表面への親水性付与 化学メーカーC社 研究所

フィルム表面へ付与する親水性能の向上を模索

親水性を維持しながら、洗浄に対する耐久性を向上させた微粒子とは?

塗料・コーティング

機能性フィルムの製造、販売を行っているC社。自社で開発した親水性フィルムの性能を、さらに向上させた新製品を開発することになり、フィルムの表面コート層に使用する技術を見直すことになった。

※本事例は想定事例ですが、似たようなお悩みの方々へのご参考として掲載しています

課題

コーティング剤の新たな配合を模索するも、目指す基準がクリアできず…

C社の製品である機能性フィルムは、表面に親水性を付与することで、フィルム表面についた水滴が濡れ広がるようになっています。そのため水滴がついて視界が遮られることを防ぐ「防曇性」、表面についた汚れが洗い流しやすくなり、水垢などの汚れが付着しにくくなる「防汚性」、あるいは「帯電防止」などの機能を発現させることができる製品でした。

今回、C社の研究所では、このフィルム表面の親水性をさらに高めることによって、拭き取りや洗浄などに対する耐久性をより向上させたいと考えていました。

責任者のS氏は、開発状況について次のように振り返ります。
「当社では従来、界面活性剤などの親水性剤を含んだコーティング剤を塗布する方法を採用していました。しかしこのやり方では、拭き取りや洗浄などを行った際に親水性剤が除去されてしまい、親水性が低下してしまうことがわかっていました」(S氏)

そこで研究所では、コーティング剤にさまざまな配合を行うことで解決を図ることにしました。

まず検討したのは、コーティング剤にPVA(ポリビニルアルコール)やPEG(ポリエチレングリコール)といった水溶性ポリマーを配合することです。しかしこの方法ではフィルム表面の親水性付与が十分ではなく、耐久性を確保することができませんでした。

次に、シリカ微粒子などの無機系微粒子をコーティング剤に配合することを検討しました。フィルム表面の親水性は向上しましたが、条件によっては配合性不良になってしまい、凝集や粒子沈降が発生したり、経時でフィルムから粒子が脱落したりする恐れがあるという課題が残ってしまいました。

さらに親水性有機微粒子を配合することも検討しましたが、この場合コーティング剤の粘度が高くなるため、微粒子の配合量を上げることができず、親水性の向上も十分ではありませんでした。

メンバーはコーティング剤に配合する添加剤や配合方法を変えるなどして、何度もフィルムの試作を繰り返しました。しかし想定していた基準をクリアするコーティング技術には遠いものばかり。突破口が見いだせないまま、新製品の開発期限は目前に迫っていました。

課題のポイント

  • 拭き取りや洗浄などに対するフィルム表面に付与した親水性の耐久性の向上を目指していた

  • コーティング剤に水溶性ポリマーや無機系微粒子、親水性有機微粒子などを配合したが、想定していた基準をクリアできなかった

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