高品質・高安定性のリポソーム 化粧品メーカーW社 研究開発部

画期的な新製品の企画でコンペを勝ち抜けたいが、リポソームに思わぬ壁が…

1mL中におよそ200兆個のリポソームが存在、新製法のリポソームでコンペに勝利!

ライフサイエンス
耐久性・安定性

化粧品業界の激しい競争の中で日々新製品開発に取り組むW社。研究開発部ではいくつかのチームに分かれ、半年に一度行われる社内コンペで新製品の企画を競っていた。コンペで優勝した製品企画は商品化される。3回続けてコンペで敗退しているチームBは今度こそ優勝を勝ち取ろうと奮闘していた。

課題

近年注目のリポソームを使いたいが、従来品には多くの課題があって…

チームBでは、肌への有効成分の浸透性を高めた新しいスキンケア美容液を開発ターゲットとし、近年話題になっているリポソームに着目しました。リポソームは、脂質二重膜からなる粒径20~200nmの粒子で、美容液に添加することで有効成分の肌への浸透性を高めると共に、高い保湿感を付与する効果があります。しかし、従来のリポソームは構造が不安定という弱点が知られていました。

チームのリーダーK氏は、リポソーム製剤を美容液に使うことの課題を、次のように語ります。
「リポソーム製剤を安定化させるためには、増粘剤等を添加する必要がありました。それに不安定なリポソームでは構造が経時的に壊れてしまうため、有効成分を肌の内部へ十分に浸透させることができないのです。その他にも、原料として冷蔵保管が必要なため、冷蔵倉庫での在庫が必要となり、コストアップも懸念されました」

従来のリポソームでは、本来のポテンシャルを引き出せないと感じたK氏は、従来品より安定性が高いリポソームを探すことが第一優先と考えました。K氏とメンバーは、今まで取引のあった商社などにも声をかけ、情報の収集を行いました。

しかし、安定性の高いリポソームはなかなか見つからず、社内コンペの提案の締め切りも迫ってきていました。

課題のポイント

  • リポソームは化粧品原料として、高いポテンシャルを持つ成分だが構造が不安定という弱点がある

  • このためリポソームの特長である肌への有効成分の浸透力が十分でなかったり、低温貯蔵が必要であったり、などの課題がある

  • 課題克服のためには、安定性が高いリポソームを見つける必要がある

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