アンチブロッキング剤の基礎と選定のガイドライン フィルムメーカーU社 開発部

フィルム表面の高度な凹凸制御を行う微粒子を選定したいが…

微粒子選定のステップバイステップガイド。微粒子のプロが伝授する選定のポイント!

エレクトロニクス
表面改質

高性能電子デバイスや電子部品に使用する工業用フィルムの製造・販売をしているU社。フィルムの材料変更に対応して、アンチブロッキング剤を探すことになり、開発部担当のMさんは要求されたスペックを満たす微粒子の探索を行っていた。

課題

フィルムの材料変更対応のために、新しくアンチブロッキング剤を探すことになり…

電子デバイスの高性能化、小型化に伴い、これらの部材の薄膜化や高度な平滑制御が求められています。そんな中、高機能工業用フィルム開発部で入社3年目を迎えるMさんは、アンチブロッキング剤の検討に取り組んでいました。

「次世代通信規格用部品に使用する工業フィルムのベースフィルムの材料を変更することになりました。今まで通りのフィルムのアンチブロッキング性(表面の凹凸制御)はそのままに、ベースフィルムの材料変更に合わせた、アンチブロッキング剤の変更が必要になり、その選定を任されることになりました」
とMさんは振り返ります。

「ほとんどのフィルム製品はロール状に巻き取るので、フィルム同士を重ねた際のブロッキングを防ぐために、アンチブロッキング剤を添加してフィルム表面に凹凸を付与します。今回の工業用フィルムは特に表面平滑性が求められ、フィルム表面の高度な凹凸制御が必要でした」

「今回使用するベースフィルムの材料は、これまで使用していたアンチブロッキング剤との相性が悪く、新しく微粒子の選定が必要でした。私自身、アンチブロッキング剤の検討が初めてだったので、先輩から色々アドバイスをもらって検討を開始しました」

Mさんは続けます。
「先輩から過去のアンチブロッキング選定時の資料を渡されて、細かい選定手段や理由など探してみましたが、記載がほとんどなく情報量の少なさにがっかりしました」

Mさんは材料選定のガイドラインのようなものが必要と考え、進捗を報告する会議までの時間が短くなる中、社内で色々と相談してまわることにしました。

課題のポイント

  • ベースフィルムの材料変更に伴い、アンチブロッキング性を保持しながら、高度な表面平滑性を有する高機能工業用フィルムの開発をすることになった

  • 社内の過去の検討資料には細かい選定手段や理由などの記載がなく、経験の少ない開発担当者のためのガイドラインが必要であった

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