異種材料接着剤の性能向上 自動車部品メーカーK社 研究開発部
難航する自動車部品用の接着剤の開発。異種材料の接合を実現したいのだが…
高靱性が要求される接着剤の課題を解決!日本触媒の靭性付与剤が解決の突破口に

自動車部品の軽量化策の一つとして、鋼材から炭素繊維強化樹脂(CFRPやCFRTP)、プラスチックへの代替の研究開発を推進しているK社。素材の変更に合わせて、金属とプラスチック材料などの異なる材料の接合のため、異種材料接着の技術を検討しているが、難題に突き当たっていた。
課題
エポキシ系接着剤の靱性改良を検討するも解決策が見つからず…
K社では、自動車用構造材の接合技術において、すき間ができず、振動を緩和するメリットなどから接着技術に注目して開発に取り組んでいます。接着剤としては、耐熱性が高く、鋼板への接着性が優れることからエポキシ系接着剤を中心に開発することを決定。しかし、エポキシ樹脂は機械的特性や耐熱性、耐水性に優れるというメリットがあるものの、硬くて脆いという特性のため、樹脂をゴム変性したり、添加剤としてゴム成分を分散させることにより靭性を付与することが必要でした。
K社 研究開発部のT氏は、次のように話します。
「エポキシ樹脂への靱性付与の方法として、末端をゴム変性する手法が知られていますが、ガラス転移温度が低下してしまい、耐熱性が低下することが懸念されました。また、添加剤としてゴム成分をエポキシ樹脂に分散させる手法では、硬化条件やゴム成分の分散状態で物性がばらつくという問題がありました。私たちはエポキシ系接着剤の靱性向上のため、取引実績のある接着剤メーカーに声をかけ、共同で試作と評価を繰り返しました」
靭性を改善するために、エポキシ樹脂にニトリルブタジエンゴムなどのゴム粒子を添加すると靱性付与効果が見られるのですが、高温時(100℃~120℃)には接着強度が低下してしまう結果となりました。
開発目標を達成する靱性付与方法が見つからず、T氏ら研究開発部メンバーと接着剤メーカーは共に頭を抱えていました。
課題のポイント
エポキシ樹脂は機械的特性や耐熱性、耐水性に優れているものの、硬くて脆い特性を持つ
靱性付与のため、様々な方法を検討したが、接着強度を含めた開発目標達成が困難