
防錆塗料用途
有機無機ハイブリッドエマルション
ユーダブル®FSシリーズ(開発品)
防錆性+耐候性に優れた水系塗料用途エマルション
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防錆塗料用途エマルション 塗料メーカーD社 塗料開発部
環境対応が進められる外装向け塗料。水系塗料の防錆効果を向上させたエマルション技術!
建築資材や構造物、各種工業製品向けの塗料を幅広く開発・製造販売を行うD社。得意先である建設会社との面談の場で「環境配慮の視点から、溶剤系から水系に切り替えたいので、急ぎ相談に乗ってほしい」と連絡を受けた。
※本事例は想定事例ですが、似たようなお悩みの方々へのご参考として掲載しています
D社の研究担当Wさんは得意先の担当者との面談に同席します。
得意先では、これまで溶剤系の防錆塗料を使用していました。しかし最近、VOC対策を中心とした環境規制や作業環境の改善、現場塗装の際の臭気対策のため、防錆塗料の水系化への強い要望があるとのことです。
Wさんはこう振り返ります。
「防錆塗料は使用環境や耐用年数に合わせて、重防食、一般防食、軽防食の3種類から選択されます。今回開発ターゲットとなったのは、一般防食や軽防食のタイプでした」
「得意先から、ビルや倉庫、マンションの立体駐車場をターゲットとして想定していて、十分な耐候性を必要としているという話も聞きました。顧客の要望を整理してから水系の防錆塗料の試作に入りました」(Wさん)
塗膜が防錆効果を十分に発揮するためには、金属表面に錆が発生する反応因子である酸素、反応場である水、反応を促進する塩素イオンなどのイオンを遮断することが設計のポイントです。
具体的には、塗膜の緻密性を向上させることで、腐食因子からの遮蔽性を高めることと、塗膜の耐水性および金属との密着性が重要です。塗膜の耐水性の観点から、エマルション系塗料を選択することになり、早速、キーとなるエマルションの選定を始めます。
「塗膜の耐候性が必要ということで、今回は耐候性で実績のあるアクリルエマルションを用いて検討しました。しかし、入手したアクリルエマルションを用いた塗料では、塗膜自体の水の遮蔽性が不十分なため期待した防錆性が発揮できませんでした」(Wさん)
「さらに以前より得意先から、『どの建設現場も慢性的な人手不足で、省人化や工程の短縮が可能な技術の提案はいつでも歓迎する』との要望ももらっていて、なんとか対応したいと考えていました」(Wさん)
ベースとなる樹脂探索の目途が立たない状況でも、顧客への期待に応えたい想いで、Wさんは検討を続けていました。
環境規制や作業環境の改善を背景に、防錆塗料(一般防食・軽防食タイプ)の水系化の依頼があった。
水系防錆塗料の設計のポイントは錆が発生する因子の遮蔽であるが、一般的なエマルションでは緻密な塗膜が作れなかった。
省人化や工程の短縮につながる技術も提案したいと考えていた。
ユーダブル®FSは有機無機ハイブリッドエマルションで「耐候性」と「防錆性」を兼ね備えた水系コーティング材料
アクリルエマルションと架橋シリコーン技術を組み合わせることで、錆発生因子の侵入を防ぐ緻密な膜を作ることが可能となり、防錆効果が期待できる
ユーダブル®FSは、建築塗料で実績のあるユーダブルと架橋シリコーン技術を組み合わせており、耐候性と防錆性を兼ね備えているため、中塗り+上塗りの一工程化が期待できる
Wさんは仕様にマッチするエマルション技術がないかと情報収集を続けます。すると、たまたま参加した展示会で、日本触媒が展示している『防錆・防食用コーティング材料』に目を止めました。
担当者に詳しく話を聞くとユーダブルFSという「耐候性」と「防錆性」を兼ね備えた水系コーティング材料で、有機無機ハイブリッドエマルション技術というものがベースになっているとのことでした。
さらに、従来は中塗りと上塗りを別々に行っていた工程の一工程仕上げができることが期待でき、工程短縮への貢献の可能性があるという紹介もしていました。Wさんは、これは求めていたエマルション技術に違いないとひらめき、別日に打ち合わせの約束をしました。
数日後に日本触媒と面談を行いました。
「ユーダブルFSは、建築・建材上塗り塗料で実績のある既存技術のユーダブル設計と疎水性が高いシリコーンを組み合わせたエマルションになっているそうで、シリコーンによるアクリル樹脂の架橋構造が緻密な膜を作ることで塗膜の膨潤を防ぎ、腐食因子から金属を守ることができると説明を受けました」(Wさん)
防錆効果や耐候性の試験結果の提示を受けたWさんは、面談の場で早速サンプル依頼をしました。得意先からの要望である省工程化も達成できるかもしれません。
到着したサンプルを用いた試作塗料を評価したところ、期待通りの防錆効果を持つことが分かりました。
また、上塗りと中塗り塗料を一剤化した形での組成検討も継続して検討しています。
D社ではユーダブルFSを配合した試作品の評価結果を得意先に提示することが決まり、工程短縮の提案を含めて、詳細を詰めているところです。