
高相溶性多機能ポリマ ー(アクアリック®KL-001)
分散剤+可溶化剤の2つのはたらきを持つ特殊ポリマー
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分散能と可溶化能を持つ高相溶性多機能ポリマー 洗浄剤メーカーA社 研究部
油汚れとタンパク汚れの再付着防止に。複合機能を持つポリマーの実力!
外食産業や食品工場向け用の洗浄剤を製造・販売するA社。外食業界では効率的なオペレーションを行うために自動食器洗浄機の使用が一般的になっており、特に環境対応を意識した節水タイプが増えている。それに伴い食器洗浄機用洗剤にも様々なニーズが発生しており、A社の営業担当Kさんにもこんな相談が持ち込まれた。
A社の得意先の一つであるホテルレストランでは、多様な顧客のニーズに応えるためにバイキング形式のメニューを取り入れています。その結果、洗浄する食器数が増えた上に、回転数を上げる必要がありました。しかし、一部の食材で汚れが落ちにくいと、洗い場担当者から困惑の声が上がっていました。
定期的に顧客訪問を行っていたA社の営業担当者Kさんは、こんな相談を受けます。
「メニューの多様化で洗浄しにくい汚れが増えており、汚れの種類としては特に油汚れや卵料理のようなタンパク汚れが残りやすいとのことでした。厨房は常に人手不足で洗浄対象の食器枚数が増えたこともあり、予洗いが不十分な際に洗浄後の食器に油のヌルつきやタンパクの再付着が見られることがありました。もっと効果的に洗浄でき、汚れの再付着も防止できるような洗浄剤を提案してほしいという相談でした」(Kさん)
Kさんからお客様のニーズを聞いた研究部のSさんは、早速改良処方の検討に取り掛かります。洗浄力を上げるために、どうしても配合する原料数が増加する傾向になるのですが、製造現場からは「製造時の品質管理や製造プロセスの簡略化の観点から原料数は少なくして欲しい」という強い要望もあり、なかなか難しい課題であると感じていました。
「食材や油脂のこびりつきが多くこれらを短時間で落とす必要があるため、一般的な業務用食器洗浄機向け洗剤には、油脂汚れやタンパク質の分解に効果的な比較的強いアルカリ性の洗浄剤を使用します」(Sさん)
「今回得意先が新導入した食洗機は節水タイプで、汚れ負荷が多いようです。そんな中、洗浄力を高めるためには、界面活性剤を配合することがセオリーなのですが、高アルカリ性洗剤では界面活性剤の析出や分離が発生しやすく、また界面活性剤を溶解するための可溶化剤の配合も必要だと考えました。」(Sさん)
油脂やタンパク汚れに効果的な洗浄を達成するため、界面活性剤を配合しても、高アルカリ性洗浄剤の中で安定した溶液状態を保ち、しかも、原料数の観点からできることなら可溶化剤を使用しない処方で達成したいと、いくつかの洗浄剤処方で検討してみましたが、どうしても目標とする性能を達成することができません。
このままではスケジュール遅延につながるので、可溶化剤を使用する処方を組むしかないか・・・とSさんは半ばあきらめの気持ちになっていました。
メニューの多様化や、節水タイプの業務用自動食器洗浄機の導入に伴い、洗剤にこれまで以上の洗浄力や再付着防止が求められている
品質管理や製造プロセスの簡略化の観点からできるだけ洗浄剤の原料点数は少なくしたい
高アルカリ性の洗浄剤中では、界面活性剤を配合すると析出や分離が発生しやすく、通常は安定な液体状態を保つために、可溶化剤が必要になる
日本触媒の高相溶性多機能ポリマー(アクアリック®KL-001)は分散能と可溶化能の2つの機能を有する
アクアリック®KL-001の適用で、洗浄力向上のため配合必須だった界面活性剤を安定化でき、十分な洗浄力を持つ製品開発の目途が立った
Sさんは、チームのミーティングで日本触媒の高相溶性多機能ポリマー(アクアリックKL-001)の情報の共有を受けました。早速、日本触媒のWEBサイトを確認すると次のように紹介されていました。
「スケール抑制や汚れの再付着防止といった分散剤としての機能と、可溶化剤としての機能を併せ持つ、独自のポリマー。可溶化剤を使用せず、界面活性剤を安定に配合することができるかもしれないと直感的に感じました」(Sさん)
「さらに、スケール防止能や再汚染防止能もあるので、食器洗浄機用洗剤に向いているポリマーだと思い、日本触媒にすぐ問い合わせをしました」(Sさん)
日本触媒の営業担当から電話があり、取り急ぎアクアリックKL-001のサンプルを依頼しました。さらに他の洗浄剤用途の商品の紹介も可能という提案を受けて、打ち合わせの場が設定されました。
SさんはアクアリックKL-001の評価を行います。これまで検討していた処方にアクアリックKL-001を適用したところ、界面活性剤を配合しても可溶化剤を未配合で安定的な液状状態を保持でき、油汚れやタンパク汚れに対しても十分な洗浄力を持つ製品設計が達成できそうです。
研究検討会で進捗状況の報告をしたところ、上層部からスケールアップに向けた指示が出され、製品化に向けて進めることになりました。
Sさんは、開発が順調に進んでいることをうれしく思い、これまで界面活性剤の安定化ができなかった食品工場向け洗剤にもアクアリックKL-001を配合してみようかなと思っています。