高屈折率の有機系微粒子 コーティング剤メーカーC社 技術開発部

最近トレンドのマットコーティング剤開発。仕上がり向上に貢献した微粒子とは?

有機系で1.66の高屈折率。艶消し用途向けベンゾグアナミン樹脂微粒子!

塗料・コーティング
表面改質 耐久性・安定性

コーティング剤の製造、販売をしているC社。得意先の家電メーカーより、最近トレンドの艶消し仕上げを発現するマットコーティング剤の開発をして欲しいと相談が持ちかけられた。

課題

デザイン家電のトレンドに対応できるマット風の仕上がりが出せるコーティング剤を開発したいが・・・

C社の研究担当Uさんは、早速営業担当者と得意先を訪問して詳細な話を聞くことにしました。

「最近、家電に機能性や使い勝手、価格だけでなくデザイン性を求める傾向があり、特に若年層でその傾向が顕著であるという話を聞きました。ヨーロッパメーカーの落ち着いたマットな質感で、インテリアになじむ家電が人気であることをヒントに、トレンドを意識した新シリーズのハイエンドモデル家電に用いるコーティング剤を開発してほしいという依頼です」(Uさん)

Uさんはこれまでも、家電用コーティング剤の開発をしてきましたが、コーティング剤を使用する目的は、デザイン性というより対象物であるプラスチック保護の意味合いが強いものでした。

家電、自動車の内装などに使用されているコーティング剤には、艶消しのため微粒子が配合されています。コーティング剤を塗布し形成した塗膜に微粒子で凹凸をつけることで、光が乱反射して光沢の少ない仕上がりとなります。今回の依頼内容は、さらに落ち着いた質感を出すためにこれまで以上の低グロス効果が必要なので、Uさんは新たな艶消し剤の探索が必要かもしれないと考えました。

Uさんは、艶消し剤の探索にあたって考えます。
「艶消し用微粒子の種類としては、無機系と有機系がありますが、無機系微粒子は屈折率が高く、特有の白さが出てしまいます。特に家電の人気カラーである黒では無機系微粒子特有の白っぽさが出てしまうことが懸念され、今回は有機系微粒子を選定しようと思いました。そこで、まずはアクリル系やアクリルースチレン系微粒子の中で、過去に検討したものを試すことにしました」(Uさん)

ところが、それら微粒子の組み合わせや配合方法などを色々検討しても、期待した質感が発現できません。「無機系微粒子には届かなくても、もっと屈折率の高いものがあれば、良い質感が出せるのに」とUさんは考えます。

さらに、有機系微粒子と溶剤の組み合わせによっては、粒子の溶剤への分散性が低下するなど、新たな課題も出てきます。開発開始から1か月半がたっても、得意先に提案できるレベルの試作品ができません。Uさんは焦りを感じます。

課題のポイント

  • トレンドのインテリア性の高い家電としてマットな質感のハイエンドモデル家電に用いるコーティング剤の開発依頼があった

  • 艶消し剤として、有機系のアクリル系やアクリルースチレン系微粒子では、十分な性能を発揮できなかった

  • 目標とする仕上がりにするためには、微粒子の屈折率がカギになることはわかっていた

解決

解決のポイント

  • 日本触媒のエポスター®は有機系微粒子では屈折率が最高レベルの1.66と高く、マット剤としての多くの採用実績がある

  • エポスター®を配合したコーティング剤により、マットな質感の仕上がりを達成でき、得意先の要望を満たす試作品が完成した

エポスター®でマットな質感を出せるコーティング剤が完成!

Uさんは、艶消し効果を持つ新たな微粒子を探索することにしました。微粒子を取り扱っているメーカーのWEBサイトを中心に探索すると、日本触媒のエポスターという製品のページにたどりつきます。

「有機系微粒子で1.66と屈折率が高いという記載があり、マット剤として実績もあるとの記載から、これは期待できると考えて、日本触媒に問い合わせをしました」(Uさん)

「早速、営業担当者から連絡があり、エポスターはベンゾグアナミン構造により高い屈折率を発現でき、有機系微粒子としては最高レベルの屈折率を持ち、艶消し剤として多くの採用実績があること、分散性が高いことが評価されていることの説明を受けました」(Uさん)

複数ある粒子径のラインアップからの選び方や、混合・分散方法や溶媒の選び方などのアドバイスを営業担当者から受けながら、Uさんはエポスターを用いての検討を進めます。

「心配していた耐溶剤性や耐熱性についても懸念がなく、試作・評価共にスムーズに進みました。得意先へのサンプル提出のタイミングが迫っていたので、どうなることかと心配していましたが、粒子径のバリエーションも多かったので、これまで試してきた検討結果を参考に効率よく微粒子選定ができて良かったです」(Uさん)

出来上がった試作品は仕上がりが美しく、懸念であった分散性についてもクリアできそうです。Uさんはこれなら得意先からの期待に応えられそうだと安堵しました。

エポスターに手ごたえを感じたUさんは、早速上司に報告を行い、得意先へのサンプル提供の了承を取りました。日本触媒からは、安定的な供給が可能な製品であるという情報も得られ、Uさんは次の技術検討会議では、生産に向けてのスケールアップの段取りを相談する予定です。

課題解決ソリューション