コンクリート下地用プライマーに適したアクリルエマルション 建設資材メーカーK社 開発部

セルフレベリング材下地用プライマーの設計。施工性が良好で、耐久性向上に貢献するシリコーン変性アクリルエマルションとは?

低温施工と耐久性を考慮したプライマー設計に貢献!

建築・建材
分散・凝集・粘度 表面改質 耐久性・安定性

建設資材メーカーK社のCさんは、開発部にて塗床材やプライマーの開発を担当。ある日、営業部門からCさんのもとに、セルフレベリング材(SL材)を使用する大規模コンクリート床工事向けのプライマーについて相談が持ちかけられた。

※本事例は想定事例ですが、似たようなお悩みの方々へのご参考として掲載しています

課題

セルフレベリング材(SL材)施工に使用するプライマーの最適化が必要で・・・

Cさんは営業担当とともに、得意先のゼネコンの技術担当者との打ち合わせに参加します。

近年、オフィスビル・データセンター・ショッピングモールなど、広い床面積と高い平滑性が求められる非住居系建築物の物件が増えている状況です。そんな中、施工性が良くて耐久性も確保できるコンクリート床材の開発を進めていて、特にSL材下地用プライマー選定が重要になってきているとのことでした。

SL材を施工する場合、下地コンクリートとの界面接着が不十分な状態では、気泡・剥離・仕上がりムラにつながります。これを改善するため、SL材施工前に下地コンクリート上にプライマーが施工されることが一般的です。プライマーは下地コンクリート表層の吸水挙動を調整することで、SL材の水分が下地に急激に吸収されることを抑制します。その結果、セメントの水和反応に必要な水分環境を安定化させるとともに、下地表層のばらつきの影響を軽減します。

Cさんたちは、得意先との打ち合わせを受けて、プライマー設計の方向性を検討します。今回のプライマーに求められる役割は下地の吸水調整やSL材を打設する際の気泡発生抑制に加え、下地とSL材の接着性向上など多岐にわたります。

プライマーの主剤としては、アクリルエマルション系を主流として、SBRラテックス系、エポキシ系などがあります。その中でも、アクリルエマルション系のプライマーは、コンクリート下地表層に浸透して造膜後に、SL材施工時の下地吸水挙動を調整し、水分移動を適正化します。水系であるため施工性にも優れるため、下地プライマーとして最も広く採用されています。

Cさんたちは、これまでプライマーに使用していた実績のあるアクリルエマルションを再検討しました。その結果、SL材の仕様や下地コンクリートの仕様によっては、従来のアクリルエマルションを使用したプライマーでは、温度変化によるモルタルの体積変化に対する追従性の不足が発生し、界面剥離が発生したり、場合により長期で接着が低下したりすることがありました。

さらに、低温条件での施工時に造膜性が悪くなり、接着力が低下するという課題も見られました。外気温による作業環境の振れや、作業者による施工量や作業時間の振れによる仕上がり差も課題でした。

得意先へのサンプル提出の納期が迫る中、Cさんたちは、施工性と耐久性のバランスがとれたアクリルエマルションの解決策が見えなくなっていました。

課題のポイント

  • セルフレベリング材(SL材)を用いた大規模コンクリート床工事向けに、施工性と耐久性を両立できる下地用プライマーについて建設資材メーカーの開発担当者に相談があった

  • プライマーに求められる役割は下地の吸水調整やSL材を打設する際の気泡発生抑制、下地とSL材の接着性向上などで、今回は施工性に優れるアクリルエマルション系プライマーを中心に検討することになった

  • 従来のアクリルエマルションでは追従性不足による界面剥離や、低温施工時の造膜性・接着力低下といった課題があり、施工条件のばらつきにも対応できる新たなプライマー設計が必要である

解決

解決のポイント

  • アクリセット® CEは低Tg設計のアクリルポリマーを主鎖とし、シリコーン変性構造を導入したコンクリート用プライマーに活用できるアクリルエマルションで、密着性の改善が期待できる

  • シリコーン架橋構造により、耐水性・耐アルカリ性および耐久性に優れ、床構造の長期安定性が期待できる

  • アクリセット® CE配合のプライマーは低温での施工性が良く、下地コンクリートおよびSL材との接着性も発現していた

低Tg設計で、施工性と耐久性も確保!「シリコーン変性アクリル系エマルション」が解決の糸口に!

検討が行き詰まりかけていた中で、Cさんは改めて情報を集め直すことにしました。アクリルエマルション系の土木・建築用プライマーについて、WEB上の情報を探していきます。

すると、日本触媒がコンクリート用プライマーに活用できるアクリルエマルションとして、アクリセットCE-518やCE-553という製品を紹介していることを知りました。

早速、日本触媒に連絡をして担当者から詳細な説明を聞きます。この製品は、シリコーン変性されたアクリル系エマルションで、-12℃や-21℃と低いTg設計になっているとのことです。これにより、下地コンクリートとの界面追従性が向上し、SL材のモルタル硬化時の体積変化などにも追従して密着性を維持できる。また、冬期施工における低温環境での皮膜形成に優れ、安定したプライマー層の形成ができるとのことです。

さらに、シリコーン変性によるシリコーン架橋の導入により、低Tgポリマーの耐水性、耐アルカリ性、耐久性を改善し、長期の信頼性向上が期待できるとのことです。

Cさんは、アクリセットに魅力を感じ、このエマルションを用いたプライマー設計を検討対象に加えることにしました。

実際にアクリセットを用いて試作・評価を進めたところ、低温での施工性が良く、下地コンクリートおよびSL材との接着性も発現していることが確認されました。

また、施工直後だけでなく、長期使用を想定した温冷繰り返し試験後の接着に優れる結果も得られました。Cさんたちは、アクリセットを配合したプライマーを得意先に提示できるように、詳細を詰めているところです。

課題解決ソリューション