ディスプレイの低消費電力化に貢献する高屈折率材料 化学メーカーL社 ディスプレイ材料研究部

高まる省電力化要求に貢献。粒子屈折率1.86のジルコニアナノ粒子分散液「ジルコスター®」とは?

独自の設計技術で、高屈折率と透明性を両立

エレクトロニクス
表面改質 環境対応 耐久性・安定性

化学メーカーL社のDさんは研究部にてディスプレイ関連材料の光学層の設計を担当。得意先のスマートフォン向けディスプレイパネルメーカーから、低消費電力化を目的とした光取り出し効率向上に関する相談が営業部門に寄せられ、Dさんは関係者が集まる打ち合わせに参加することになった。

※本事例は想定事例ですが、似たようなお悩みの方々へのご参考として掲載しています

課題

スマートフォンの省エネ要請に応えるための高屈折率材料活用。表示品質と省電力化を両立する光学層設計がカギに・・・

Dさんは、スマートフォン向けディスプレイに用いられる光学層の設計を担当しており、営業からの依頼を受けて社内打ち合わせに参加していました。

そこでは、表示品質を維持したまま消費電力を抑えたいという要求が一段と強まっていることを受け、既存設計との親和性を保ちながら、駆動条件や発光材料を大きく変えずに光の利用効率を高める方法はないかという観点で検討が進められていました。その一つの方向性が、光学層の見直しによる光取り出し効率の向上です。

その後Dさんは営業担当とともに、スマートフォン向けディスプレイパネルメーカーの技術担当者との打ち合わせにも同席しました。そこでも、表示品質を保ちながら消費電力を抑える設計への関心が示され、光学層によるアプローチについて意見交換が行われました。

議論を通じて、光学層の屈折率設計によって光取り出し効率を高めるアプローチは有効である一方、材料の屈折率を高めると光散乱や白濁が生じやすく、表示品質への影響が課題となることが、取引先との議論を通じて改めて共有されました。

研究所に戻ったDさんたちは、高屈折率と低散乱を両立するための具体的な検討を進めました。

今回の検討では、層間の屈折率差を小さくすることで光ロスを抑えるというアプローチに着目します。屈折率ギャップを緩和することで、光が層内に閉じ込められにくくなり、同じ輝度をより低い駆動電流で得られる可能性が期待されます。

また、光取り出し効率の向上と層間の屈折率ギャップの緩和を目的に、各種ナノ粒子の検討を行いました。

酸化チタン系のナノ粒子は、ジルコニア系よりも高い屈折率を有する無機材料として注目され、光学層の屈折率設計を目的に検討されてきました。しかし、材料固有の色味や光触媒活性により、有機成分の劣化を通じて光学層の安定性に影響する場合があります。

一方で、酸化ジルコニウム系のナノ粒子は、色味や光触媒活性がないものの屈折率は酸化チタン系に劣ります。また、無機系のナノ粒子全般の課題として、粒子径や分散状態によっては光散乱が顕在化し、ディスプレイ用途では表示ムラやヘイズ上昇が課題となる場合があります。

さらに、有機系材料は透明性や加工性に優れるうえ、分子設計によって比較的高い屈折率を実現できる材料もありましたが、光学層全体として屈折率をさらに引き上げたい設計条件や、耐久性・安定性を含めた長期信頼性まで同時に満たす観点では、設計の選択肢が限られるケースもあります。

こうして各素材を並べてみると、どれも一長一短で、「どれを選ぶのがいちばん現実的なんだろう……」とDさんたちは考え込んでしまいました。

課題のポイント

  • 表示品質を維持しつつ、消費電力を抑える設計ニーズが高まっていた

  • 高屈折率材料として無機系・有機系の複数素材を検討したが、光散乱による表示品質への影響や、光学層全体としての屈折率の上限といった材料固有の制約が明らかになった

  • 各素材に一長一短があり、光取り出し効率・表示品質・設計のしやすさを同時に満たす材料選定が難しい状況にあった

解決

解決のポイント

  • ジルコスター®(酸化ジルコニウム系ナノ粒子分散液)は、1.86と高い粒子屈折率を持つ

  • ジルコスター®は、粒子径を小さく制御し、さらに分散性・凝集抑制にも配慮した設計により、光散乱の増加を抑えやすく、白濁やヘイズの低減に寄与する

  • その結果、高い透明性を維持しながら屈折率設計の自由度を高めることができ、省電力化や表示品質の両立に向けた検討に活用できる

粒子屈折率1.86を実現した酸化ジルコニウム系ナノ粒子。「ジルコスター®」が有力な選択肢に!

Dさんは、新たな素材探索をするために、エレクトロニクス関連の展示会に参加することにしました。そこで、これまで知らなかったジルコスターという日本触媒の製品が展示されていることに気づきます。

「担当者から、酸化ジルコニウム系ナノ粒子で高屈折率でありながらも、フイルムにした際には無色透明になるという話を聞けました」(Dさん)

「現在の課題にピンポイントで活用できる素材だと感じたので、その場で面談の約束をしました」(Dさん)

後日の面談では、ジルコスターが粒子屈折率1.86という高い屈折率を持つ酸化ジルコニウム系ナノ粒子分散液であることに加え、粒子表面の表面処理やUV重合性官能基の導入によって、分散安定性や光学層形成後の透明性に配慮した設計であることについて説明を受けました。

また、層間の屈折率ギャップを緩和する設計により、光の閉じ込めによるロスを抑え、結果として省電力化や発熱抑制につながる可能性が示されました。

無機系材料で懸念されがちな白濁や凝集についても、分散液の状態だけでなく、UV硬化後の光学層においても透明性を維持できるよう設計されている点が、Dさんにとって魅力的に映ったといいます。

分散媒についての情報が充実していることや、複数のラインアップがあること、他のナノ分散液に比べて固形分濃度が高いことから、組成に対して粒子含有量を調整しやすく屈折率調整の設計検討が容易であることにもDさんは魅力を感じます。

「高輝度化と省電力を両立しながら、表示品質につながる透明性の維持やムラが少ないことにも期待が持てそうです。既存の構造を大きく変えずに実装が可能である点も判断材料の一つになったため、ジルコスターを評価することに決めました」(Dさん)

こうしてDさんたちは、高屈折率が求められる設計条件に向けた候補材料として、ジルコスターを用いた検討を進めていくことにしました。

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