徹底解説|バイオサーファクタント(化粧品原料)とは?
化粧品原料として活用される第3の界面活性剤「バイオサーファクタント」を解説!
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発酵由来のバイオサーファクタント 化粧品メーカーM社 研究開発部
ブランドリニューアル時のヒントに。キー原料となった第3の界面活性剤!
化粧品メーカーM社の研究開発部に所属するEさん。同社は洗顔料を看板製品とするブランドを展開しており、ロングセラー製品として支持を集めていた。しかし近年はこの製品の販売量が伸び悩んでおり、Eさんはブランドリニューアルを担当することになった。
※本事例は想定事例ですが、似たようなお悩みの方々へのご参考として掲載しています
リニューアルに際して、マーケティング担当者が販売低迷の要因を調査した結果、ある購買層が競合製品を購入する傾向が高くなっていることが明らかになりました。競合製品が、洗浄力がありながらも肌へのやさしさやマイルドな使用感をアピールしていることから、肌へのやさしさをより重視したお客様のニーズとマッチしているということでした。
これまでの自社製品はメイク落ちが良いという点で洗浄力の高さが評価されてきましたが、「肌へのやさしさ」という観点では、お客様のニーズを十分に満足できなくなっていることが明らかになります。
この結果を受け、Eさんたちは処方リニューアルの方向性として、洗浄成分そのものの見直しに着手することで、高い洗浄力はそのままに、肌へのやさしさを高めることに決定しました。単なる成分の微調整ではなく、メインの界面活性剤の選定を再検討することになったのです。
早速、Eさんたちは、洗顔料に用いる界面活性剤の特性を整理し、評価をするところから着手します。
石けん系の洗浄剤は、洗浄力や起泡性が高いという点で優位性を持つ一方で、使用感や洗顔後のつっぱり感といった点が課題となります。
硫酸塩系などのアニオン系界面活性剤も、洗浄力や起泡性といった点で高い性能を発揮し、多くの製品を支えてきた確かな実績があります。一方で、「肌へのやさしさ」や「低刺激性」といった観点では課題があります。
また、低刺激性でマイルドなベタイン系やアミノ酸系の界面活性剤についても評価を進めましたが、洗浄力や泡質とのバランス設計に工夫が必要で、今回のコンセプトにマッチした処方設計を行う上での難しさが見えてきます。
加えて、化粧品業界でも持続可能な原材料の利用や、原料調達のサステナビリティの観点が注目されるようになっており、M社においても、今後これらを重視していく方針が出されています。ナチュラルやオーガニックという志向がトレンド化する傾向もあり、今回の原料の選択にも考慮すべき項目に追加されたのです。
「肌へのやさしさや低刺激性と、洗浄力や泡質をバランスする処方の設計に苦戦していましたが、サステナビリティの観点からの原料選定も必要になり、原料調査を一から実施する必要が出てきました」(Eさん)
リニューアルのスケジュールも限られる中で、有望な原料を見出せない状況で、気持ちも追い込まれていきます。
洗浄力を強みとしてきたロングセラーの洗顔料が、肌へのやさしさやマイルドな使用感といった近年のお客様のニーズを十分に満足できなくなっていた
洗浄力と肌へのやさしさに加え、持続可能な原材料の利用や、原料調達のサステナビリティも考慮する必要から、原料調査が難航していた

植物由来原料を使用したバイオサーファクタントは、低刺激性や生分解性といった特長を持ちながらも、従来の界面活性剤と同等レベルの洗浄力や泡質を発揮し、サステナビリティにも配慮した原料
皮膚マイクロバイオームを構成する常在菌に配慮した処方設計が可能
HLBや汚れ落ちの特性が異なる酸型とラクトン型のソホロースリピッドがあり、これらの配合によって「洗浄力・肌へのやさしさ」と「洗浄力」いう複合要件を同時に満たす設計の目途が立った
Eさんたちは、行き詰まりを打開するため、新たな原料や技術の可能性を探ることにしました。その一環として、化粧品原料の展示会に足を運びます。
新たな機能性や、ナチュラルやオーガニックといったコンセプトを打ち出した素材が数多く紹介されている中で、Eさんたちの目に留まったのが、“バイオサーファクタント”という新しいカテゴリの界面活性剤でした。
「植物由来原料を使用した発酵技術による界面活性剤で、低刺激性や生分解性といった特長があると説明を受けました。自然由来指数が1.0であり、バイオベースの素材である点にも今回の検討テーマとの整合性を感じました」(Eさん)
「さらに、皮膚マイクロバイオームを構成する常在菌への影響についても評価が行われており、いわゆる“美肌菌”と呼ばれる菌群を含めた微生物バランスも期待できる点が印象的でした」(Eさん)
また評価データでは、メイク汚れの除去試験において、一般的な界面活性剤と比較しても遜色のない洗浄力が確認されており、これまで課題としていた“やさしさと洗浄力の両立”に近づける可能性が示されています。
「Holiferm社のソホロースリピッドは、HLBが高い酸型とHLBが低く油にもなじみやすいラクトン型の2種類があると説明を受けました。組み合わせによって処方の細かい調整ができ、洗浄力の面でも十分に成立する可能性があり、目指していた製品設計の実現に近づくと期待を持ちました」(Eさん)
Eさんたちはその可能性をさらに確かめるために、ソホロースリピッドのサンプルを取り寄せて、評価をします。試作品のテーブルテスト結果も上々だったので、モニター評価に進むことにしました。ボディ用や、ヘアケア用途の洗浄剤にも検討しようかなとEさんたちは相談しています。