樹脂コンパウンドの性能向上 樹脂メーカーS社 研究開発部

機能性フィラーと樹脂との相性向上を狙う、適切な表面処理方法がない…

フィラー表面の改質を可能にしたナノ炭素材料とは?

塗料・コーティング
分散・凝集・粘度 表面改質

解決

解決のポイント

  • 酸化グラフェンは他のナノ炭素材料では難しかった「高い分散性」を持ち、種々の材料との複合化やコーティングが容易

  • 無機的・有機的両方の側面を持つ素材であり、フィラー、樹脂のどちらとも相性が良い

  • 酸化グラフェンでのフィラーの表面処理プロセスも簡便であり、複雑なプロセス・装置は必要なかった

各種フィラー材料に少量添加するだけで、フィラー表面の改質が可能に

粘り強く情報収集を進める中、あるメンバーが複数の論文情報から、種々の無機粒子表面に酸化グラフェンが強固に吸着することに注目しました。そこでリサーチしたところ、日本触媒が酸化グラフェンの大量合成に成功したという情報を見つけ出しました。

酸化グラフェンとは、厚み約1nm、シート長は数~数十ミクロンで高いアスペクト比・高表面積を持つナノ炭素材料です。これまでナノ炭素材料では難しいとされてきた「高い分散性」を発現しているのが特徴でした。

また酸化グラフェンは高いアスペクト比および分散性を持つことから、各種フィラー材料に少量添加するだけで、フィラー表面の改質ができることもわかりました。さらに、酸化グラフェンは無機的・有機的両方の側面を持つ素材であり、フィラー、樹脂のどちらとも相性が良く、異種材料の橋渡し効果を発現しました。

興味をもった研究開発部のメンバーは早速、日本触媒のサイトから問い合わせ、酸化グラフェンのサンプル提供を受けました。そして日本触媒の担当者から、酸化グラフェンを用いて機能性フィラーを表面処理する方法を細かく紹介してもらい、表面処理を行ったフィラーを配合して評価を行うことにしました。

「これまでは、配合が不十分であったり、機能性フィラーの配合で期待される樹脂コンパウンドの性能が十分に得られなかったりといったフィラーが多々ありました。しかし酸化グラフェンで表面処理を行うことで、性能の改善が確認できました」(B氏)

酸化グラフェンでのフィラーの表面処理プロセスがとても簡便であり、複雑なプロセス・装置は必要ないこともメリットの一つでした。

その後、取引先にサンプルを見せたところ好評価だったので、現在S社では商品化を進めているところです。

課題解決ソリューション

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