水性インキのVOC対策 インキメーカーK社 研究開発部

印刷用インキの揮発性有機化合物(VOC)対策。水系インキではPPフィルムへの密着性に課題が…

VOCフリーで安全性も向上!インキの密着性を向上させた水系バインダーとは

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解決

解決のポイント

  • 「ポリメント」は1,2級アミノ基由来の高い反応性と種々の基材への密着性に優れている

  • 新たに開発されたVOCフリーの水系エマルションタイプは臭気がなく、作業安全性も向上

  • 「ポリメント」をバインダーとして使用し、密着性が高いインキを実現できた

「ポリメント」で、PPフィルムへの密着性が優れた、VOCフリーの水系インキが完成!

Y氏は情報収集を進める中、ウェブ上のデータベースサイトに掲載されていた日本触媒の「ポリメント」に目を止めます。「ポリメント」は1,2級アミノ基を官能基として持ち種々の基材への密着性に優れているとの情報に興味が引かれたY氏は、すぐに日本触媒に問い合わせてみました。

日本触媒の営業担当から話を聞いたところ、「ポリメント」はアクリルと1,2級アミノ基の特長を併せ持つ日本触媒独自のポリマーで、PPフィルムに対しても高い密着性が期待できることがわかりました。さらに、データベースサイトにはまだ掲載されていない水希釈性タイプの改良版であるVOCフリーの水系エマルションタイプも開発して、Ames試験で陰性の品番も提供できるとのことでした。

「『ポリメント』を使用すれば、密着性などの課題を解決した水系インキが実現でき、VOCフリーの水系エマルションタイプを使用することで、環境負荷低減を強く訴求したいという顧客の要望にも応えられると考えました」(Y氏)

Y氏たちは早速、サンプルを取り寄せて評価を開始することにします。VOCフリーの水系エマルションタイプの「ポリメント」をバインダーとして水系インキを試作してみたところ、期待通り、PPフィルムへの密着性が向上することがわかりました。また、溶剤由来の臭気もなく、使用時の安全性が向上し、印刷施設でのVOC排出も大幅に削減することが期待できました。

Y氏たちは大きな手ごたえを感じて、「要望通りの“VOCフリー”インキに目途が立ち、顧客に試作品を提案しました。顧客の反応も上々で、“VOCフリーインキ”や“ノンVOCインキ”などのマークをつけて訴求できる上に、印刷施設の排ガス処理や印刷工程の防爆施設が不要となれば大きなコストダウンもできると高評価でした。

K社では「ポリメント」を使用したインキの製品化を進めることが決定し、インキ製品仕様や製造条件を詰めることになっています。

「さらに、「ポリメント」のアミノ基が顔料との親和性が高いことに注目して、需要が拡大しているインクジェット印刷向けインキ定着層として、インキのにじみを防止する効果も期待できるのでは、と新たな用途展開も検討中です」(Y氏)
K社で「ポリメント」を使用したインキ定着層の研究テーマについて、日本触媒と相談を開始しました。

課題解決ソリューション

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