
耐熱性向上モノマー(イミレックス®-C)
日本触媒が世界で初めて独自の製造技術で企業化したマレイミド
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PMMAの耐熱性を向上させるモノマー 樹脂メーカーE社 研究グループ
耐熱性と透明性を実現し、傷がつきにくい樹脂の開発に貢献したロングセラー製品!
幅広い用途の樹脂・プラスチック素材の開発・製造販売を行うE社。得意先の家電部品メーカーから新製品の仕様にマッチしたアクリル樹脂の開発依頼をしたいと相談が入った。
※本事例は想定事例ですが、似たようなお悩みの方々へのご参考として掲載しています
E社の研究担当Xさんは、営業担当から連絡を受けて、早速得意先の担当者との面談に同席します。
得意先では、キッチン家電の部品開発をしており、操作パネル部分を大きく美しいデザインにすることで利便性とインテリア性を高めた新製品を検討中とのことでした。そのため、部品の材料としては透明性が高く、加工しやすいアクリル樹脂を採用したいと考えていました。
しかし、調理家電では熱にさらされる場面が多く、アクリル樹脂の耐熱温度を超えてしまうため、変形・劣化することが懸念されるとのことで、アクリル樹脂の耐熱性を20℃以上向上させる必要があるとのことでした。
さらに、得意先の担当者からは、可能な範囲で傷がつきにくい設計にしてほしいという要望も追加されます。
まず、Xさんは耐熱性向上のために、高耐熱性のポリマー等をブレンドすることを検討しましたが、相溶性が不十分なため、透明性が低下するという問題に直面しました。そこで、メタクリル酸メチル(MMA)とガラス転移温度(Tg)が向上するモノマーの共重合を検討することにしました。
スチレン系高Tgモノマーとの共重合を検討しましたが、ポリマーの耐熱性は向上するものの、耐光性が低下して、黄変が発生しやすいという新たな問題が発生しました。
次にイソボルニルメタクリレート(IBOMA)との共重合を検討しました。合成したポリマーは耐熱性向上が確認され、透明性や耐光性も維持されましたが、その一方でポリマーの熱分解温度が低下する傾向が見られました。
共重合する割合を変えて実験してみましたが、耐熱性とその他の特性のバランスをとることができません。
「このままでは得意先からの依頼納期に間に合わない・・・」とXさんは焦りを感じ始めます。
家電部品用途向けに、耐熱性と透明性を兼ね備えたアクリル樹脂の開発依頼があった
アクリル樹脂の耐熱性を改善する方法として、さまざまなモノマーとの共重合を検討したが、耐熱性とその他の特性とのバランスをとることができなかった
イミレックス®-C(N-シクロヘキシルマレイミド)は、共重合することでポリマーの耐熱性を効果的に改善できる耐熱性向上モノマー
光学特性を要求される用途に適するイミレックス®-C(N-シクロヘキシルマレイミド)は、MMAと共重合することで、MMAが持つ透明性や耐光性の維持が可能である
Xさんは耐熱性を改善できるモノマーがないかと情報収集を続けます。すると、偶然通りかかった知り合いのベテラン社員から声をかけられました。
「以前、日本触媒のイミレックス-CというN-シクロヘキシルマレイミドを評価したことがあるんだけど、耐熱性と樹脂の透明性を維持するという点で有効で、耐光性の懸念もないモノマーだった記憶があるよ」と教えてくれました。
この話に興味を持ったXさんは日本触媒に早速問い合わせをします。すると、すぐに営業担当から電話があり、Xさんは現状の課題を営業担当者に伝え、技術的な相談の約束をしました。
面談の場で、イミレックス-Cは長い販売実績があり、種々のポリマーの耐熱性を効果的に改善でき、特に光学特性が求められる用途に適していると紹介されました。
また、N-シクロヘキシルマレイミドの構造や、重合体としての剛直性が樹脂の硬さを高めるという説明に大きな魅力を感じます。
Xさんは、日本触媒から共重合条件などについてさまざまなアドバイスを受けた上で、イミレックス-CとMMAとの共重合を検討しました。試作したポリマーは目標とする耐熱性を達成し、透明性や耐光性など、その他の特性のバランスも取れていました。
さらに、耐傷性が向上していることも確認でき、Xさんは確かな手ごたえを感じます。E社ではイミレックス-Cを配合した試作品を得意先に提示することが決まり、現在、詳細を詰めているところです。