光拡散剤用微粒子
高屈折率(1.66)の有機系微粒子
メラミン・ホルムアルデヒド縮合物微粒子(エポスター®)
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有機系高屈折率微粒子の光拡散用途での活用 化学メーカーK社 新素材開発部
有機系微粒子で1.66の高屈折率。光拡散用途で使用できる微粒子とは?
化学メーカーK社のCさんは、新素材研究所にて電子材料の開発を担当。Cさんは顧客から量子ドット(Quantum Dot / QD)ディスプレイの性能向上策について打ち合わせをしたいと依頼を受けた。
※本事例は想定事例ですが、似たようなお悩みの方々へのご参考として掲載しています
早速Cさんは顧客との打ち合わせに向かいます。相談内容はディスプレイのさらなる輝度の均一性や省電力や長寿命を両立したQDディスプレイの設計に関するものでした。
QDディスプレイは、量子ドットの狭帯域発光特性により、高色純度かつ広色域・高輝度表示を実現でき、従来方式と比較して光利用効率を高めることが可能なディスプレイ技術です。QD層に均一な光を入射させ、視野角特性および面内輝度均一性を確保しつつ高輝度化を図るため、適切な光拡散機能を有する光学シートの組み込みが必要となります。
Cさんはこのように打ち合わせを振り返りました。「酸化チタンは、微小粒子で高い屈折率を有しており、化学的・熱的安定性が高いことから光拡散用途に一般的に使用されます」
「しかし、QDディスプレイでは酸化チタンなどの高散乱材料を用いた設計は、入射光の均一化に有効である一方、散乱過多となると光学ロスが増加し、結果として色変換効率や色純度の低下の要因となってしまいます。そのため、顧客からの依頼はこれらの課題を解決できる部材を提案して欲しいとのことでした」(Cさん)
Cさんは、チームで開発の方針を検討します。酸化チタンに代わる微粒子を探索するか、酸化チタンと別の微粒子を組み合わせるかといった色々な議論がありました。
一般的に無機系粒子は、バインダー樹脂との親和性が低いことが原因で分散性が低いケースがあり、粒子凝集や界面散乱の増大を通じてヘイズが高くなる懸念があります。
そこで、樹脂への分散性や親和性という点を重視して、有機系微粒子を検討することにしました。有機系微粒子の候補として、アクリル樹脂微粒子、スチレンーアクリル樹脂微粒子と検討しましたが、それぞれ屈折率が1.5程度、1.55付近であるため、酸化チタンと組み合わせた場合に屈折率差が大きく、光散乱効果が低いという課題がでてきました。
顧客への提出期限が迫り、Cさんは強い焦りを感じます。
QDディスプレイは、入射光の均一性や視野角改善のため光拡散シートが必要だが、従来使用されてきた酸化チタンでは、光学特性の最適化には限界があり、性能の更なる向上を十分に引き出すことが困難であった
酸化チタンは入射光の均一化に有効である一方、散乱過多となると光学ロスが増加し、結果として色変換効率や色純度の低下の要因があり解決する素材が望まれている
無機系粒子や、樹脂との親和性が高い有機系微粒子を検討したが、有機系微粒子では酸化チタンと組み合わせると屈折率の差が大きく、光拡散の制御が困難であるという新たな課題が生じた

Cさんは日本触媒の「エポスター®」という製品を知り、詳細を調べてみると有機系微粒子で1.66という高い屈折率を実現しており、光拡散剤としての活用が期待される
評価の結果、エポスター®は樹脂との親和性が高く、光拡散の制御が容易になり、顧客の要求する光学性能を実現できる見込みがたった
Cさんは、隣の部署の先輩社員に相談をすることにしました。その先輩社員は、少し前の研究発表会で高屈折率を有する微粒子を検討することで、塗料の性能の向上に成功したと発表していたことを思い出したからです。
「先輩社員から、日本触媒のエポスターという製品を教えてもらいました。最近WEBページで、エポスターが光拡散剤として使用できると紹介を見つけたということで、紹介してもらえて助かりました」(Cさん)
先輩から紹介されたWEBページでは、有機系微粒子であるエポスターは窒素原子を有する芳香族構造を持つことで1.66と高い屈折率を実現し、可視光領域において優れた反射率を発揮すると記載がありました。また高い光拡散性を有し、光拡散剤として活用できると紹介がありました。
有機系微粒子なので樹脂との親和性も高く、凝集の懸念も少なさそうです。Cさんは、日本触媒に連絡を取り、サンプル入手し評価に進みます。
「営業担当者から、複数の粒子径が異なる製品のサンプル提供の提案や、分散方法や推奨分散剤の情報をもらえました。有機系の微粒子としては、かなり高い屈折率を持つのでこれはかなり期待できると思いました」(Cさん)
評価の結果、光拡散の制御性が向上し、輝度均一性の改善と不要な光散乱の抑制が可能となりました。
「まだ、ディスプレイとしての評価はこれからですが、輝度ムラの低減による面内均一性や、視認性の向上など顧客要望に見合う光学性能が出せそうで、消費電力の低減も期待できそうです」(Cさん)
Cさんは日本触媒のエポスターを有機系光拡散剤として配合する方向性で、顧客へのサンプル提出に向けた準備を進めています。